『 妖ノ祭 』 第15話 火と眠りのはざま

AI が紡ぐオリジナルストーリー 『 妖ノ祭(あやかしのまつり) 』

15話 火と眠りのはざま

 妖ノ祭、四日目の朝。

 夜の静けさを破るように、鳥の鳴き声が響く。

 深仙郷の森に朝日が差し込むと、

 戦いを止めていた者たちが、再び歩き始めた。

 だがその中で、ひとりだけ、

 まだ“夜”を抜け出せない者がいた。

 黒野レイジ

 その瞳の奥に、まだ燻る“焦燥の火”が見え隠れしていた。

〈レイジ・視点〉

……眠れなかった

心、休まる時を知らず

 白丸の言葉がやけに静かに響く。

 あの夜——無能力者の拳が肩を捉えた。

 その痣が、いまだに消えねぇ。

 力では上回った。

 けど、勝った気がしない。

 それがずっと、胸の奥で燻ってる。

もう一度、確かめるか……

何を?

俺が“強い証明”をだよ

 その時、森の奥から乾いた音が響いた。

 枝を踏み砕くような、重い音。

 レイジが顔を上げると、

 木々の間から、ひとりの男が姿を現した。

 黒い道着を身に纏い。

 無駄のない動き。

 空木イサム

 そして、その肩に乗るヘビの妖怪。ベラコ

うへぇ……朝から血の気の多い顔してるわね

ベラコ、黙れ

はいはい、寡黙すぎてホントつまらない男〜

〈レイジ・視点〉

……お前らか

お前ら、じゃない。名前で呼べよ天才

言葉にトゲがあるな

お互い様だろ

 イサムの目は鋭い。

 言葉がなくても、こいつが只者じゃないってわかる。

 妖力の圧は感じねぇ。けど、空気が重い。

戦う気か?

別に好きで戦いたいわけじゃねぇ。でも、勝つ為には倒すしかねぇ

 白丸が低く唸る。

 レイジは剣を抜いた。

 朝の光が差し込み、森の中に斬光が走った。

 双剣が閃く。

 だが、イサムは一歩も退かない。

 拳が空を裂く。

 まるで“流れる風”のような体術。

 金属と肉体が交錯し、火花が散る。

〈イサム・視点〉

 速い。

 だが、無駄が多い。

 レイジの剣は確かに鋭い。

 けど、焦ってる。

 踏み込みが荒く、呼吸が浅い。

冷静さを欠いた天才か……

 イサムは手刀を返す。

 レイジの肩を掠めた瞬間、白丸の刃が風を切った。

 互いに一歩下がる。

 血の匂いが混ざる。

〈ベラコ・視点〉

やれやれ、二人ともバカねぇ。そんなに自分の力を証明したいの?

黙れ、ベラコ

いや、言わせてもらうけどね、あんたたち、どっちも似た者同士よ

……は?

片方は“才能を疑って”、片方は“才能を壊したくて”戦ってる

 白丸の刃がわずかに揺れた。

 レイジの表情が、ほんの一瞬だけ歪む。

〈レイジ・視点〉

似た者同士、なるほど……

違ぇよ。俺は——

 その瞬間、風が逆巻いた。

 イサムの妖力が手刀に宿り、木の幹を裂く。

 白丸が防ぐ。

 鋼と拳がぶつかり、

 森に轟音が響く。

 お互い、決め手を欠くまま、

 時間だけが流れていく。

 やがて、空の色が変わり始めた。

 昼前の光が差し込み、森の空気が静かに冷めていく。

 両者の間には、わずかな距離。

 勝敗は——ない。

 だが、その沈黙が全てを語っていた。

〈イサム・視点〉

……さすが天才、強いな

当たり前だ

でも、剣が迷ってる

 レイジが目を細めた。

剣ってのは、心の写し鏡だ。迷いがあるうちは、本当の刃にならないぞ

説教かよ

忠告だ

 イサムは背を向けた。

 ベラコがその肩でニヤリと笑う。

ほらね、似た者同士

〈白丸・視点〉

 イサムたちが去ったあと、

 レイジは黙って剣を見つめていた。

レイジ、今の戦いで何を得た?

……わかんねぇ

それでいい。焦る者は、まだ立ち止まることを知らぬ

 白丸の言葉に、レイジは少しだけ目を閉じた。

 風が、森を抜ける。

 朝の光が、剣の刃に反射して眩しい。

 レイジは剣を鞘に戻した。

 その瞳の奥には、まだ迷いがあった。

 だが、その迷いの奥で、

 何かがゆっくりと“変わり始めていた”。

次回封じられた祠

 

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