『 妖ノ祭 』 第37話 交差する夢

AI が紡ぐオリジナルストーリー『妖ノ祭(あやかしのまつり)』

第37話 交差する夢

⸻

 妖ノ祭九日目。

 混戦は、すでに誰にも制御できぬほど膨れ上がっていた。

 剣の音、爆発の音、叫び声、祈りの声。

 誰もが、自分の夢のために戦っていた。

 ——その中に、一人の男が現れる。

 黒野レイジ。

 彼の歩く先で、風が静まった。

 まるで、戦場そのものが彼の意思を感じ取ったかのように。

⸻

〈志岐真・視点〉

「……来たか、黒野」

 志岐真は刀を構える。

 その目には迷いも恐れもなかった。

 目の前の青年の瞳は、以前のような狂気ではなく、穏やかに燃えていた。

「怒りは、消えたのか?」

「……ああ。燃やし尽くしたよ」

 レイジは微笑んだ。

 その笑みは、どこか懐かしい光を帯びていた。

「でもな、怒りを失っても、俺はまだ“強くなりたい”んだ。それが、弦と同じ場所に立つってことだからな」

 志岐真は頷く。

「いいな、なら俺の剣で試せ」

 二人は同時に地を蹴った。

⸻

 光と風が交わる。

 刃がぶつかるたび、空が鳴る。

 その衝撃波に、周囲の戦士たちが動きを止めた。

 レイジは一歩も引かず、ただ志岐真の刃を受け流す。

 だがその表情は穏やかだった。

「ほんとに良い剣だな。迷いがねぇ」

「お前もだ」

 志岐真の一瞬の隙を付いて、レイジの剣が後ろにいたジンのタスキを捉える。

 志岐真は笑い、静かに刀を下げた。

「この祭を……頼んだ」

 その瞬間、ジンのタスキが宙に舞った。

⸻

〈ユナ・視点〉

「志岐さん……!」

 ユナが息をのむ。

 だがレイジは彼女を見て、穏やかに微笑んだ。

「次はユナさんたちか」

「戦うつもりはない!」

 ユナが叫ぶ。

「わかってる」

 レイジは静かに双剣を交差させた。

 炎が舞い上がり、結界のように光が広がる。

「ユナさんの“優しさ”は、戦いに勝つためのものじゃなかった。でも、それを“間違い”だとは思わない」

 ユナははっとする。

 次の瞬間、レイジの剣がカサナリの体に着いたタスキに触れる。

 カサナリが微笑む。

「ごめん。負けたね、ユナ。」

「大丈夫よカサナリ。ここまで一緒に頑張ってくれてありがとう」

⸻

〈森下ショウ・視点〉

「うわあああ!!レイジ来たぁぁぁっ!!」

 ショウは全力で逃げた。

 その後ろを、鉄塊坊がのしのしと歩いている。

「ショウ、危険」

「見りゃ分かる!!!」

 レイジはため息をつき、軽く手を振った。

 すると風が流れ、ショウの腕からひらりとタスキが舞い上がる。

「え、うそっ!? 今、取られた!?」

 レイジは笑った。

「かけっこになるのが一番めんどかったんで、先に切らせて貰ってた。」

 ショウは呆然としながらも、

 その言葉に少しだけ救われたような気がした。

⸻

〈空木イサム・視点〉

「……容赦しねぇな」

 イサムが手刀を構える。

 隣でベラコが肩をすくめる。

「どうする? 勝てそうにないけど」

「黙れ」

 イサムが駆け出す。

 鋭い手刀がレイジの懐を狙う。

 だがレイジは一歩踏み込み、片手で受け止めた。

「いい腕だ」

「こんな状態で褒められても嬉しくないな」

「じゃあ——“認めてやる”」

 その言葉と同時に、一瞬にしてタスキが切られた。

 イサムは一瞬驚いたように目を見開き、

 次に小さく笑った。

「……そうか。強いな天才」

⸻

〈つばめ・視点〉

「おぉ〜、いよいよ私の出番ってわけだ!」

 つばめがカードを投げる。

 爆発、煙、幻影。

 だが、レイジは一歩も動かない。

「派手なのは嫌いじゃない」

「だろ!? だったらこのまま舞台に立って——」

 レイジが指を鳴らす。

 光が舞い、カードが空に散る。

 ペテコが叫ぶ。

「つばめっ、タスキが!」

 風に乗ってタスキが消える。

 つばめは苦笑した。

「めちゃくちゃだね。私の能力とか含めてどうやったのか全く分からないや」

 レイジは微笑んだ。

「良いステージだったな。もう少し観てたかったが、この祭りの最後の“幕引き”は、俺がやりたいんだ」

⸻

 五つのペアが次々と敗退した。

 だが、誰も血を流していなかった。

 レイジは静かに剣を収めた。

 風が流れ、地の熱が引いていく。

「……みんな、強かったよ」

 誰に言うでもなく呟く。

 その声は、まるで祈りのように穏やかだった。

⸻

〈レイジ・視点〉

「弦、お前なら、この力をどうやって超える?」

 遠くを見つめながら、レイジは空を仰いだ。

 太陽が雲の切れ間から覗く。

 その光は、かつて彼が恐れた“眩しさ”そのものだった。

「俺もやっと、あいつの隣に立てそうだ」

 風が吹き抜け、倒れた者たちの上をやさしく撫でていく。

⸻

 静寂。

 強者達の大混戦は、途中に現れた黒野レイジただ一人の勝利で幕を閉じた。

 かつて怒りを原動力に戦った戦闘の天才は、この祭りで数々の試練を超え、自らの弱さを受け入れ圧倒的な力を手に入れた。

 最もその力を証明したい男との戦いの為、彼は前に進む。

⸻

次回『憤怒の焔』

 

前回『 妖ノ祭 』 第36話 再起ノ刻

『 妖ノ祭 』第1話 封じられた夜、朱の光

【妖ノ祭】の世界観やルールは↓から

AI が紡ぐオリジナルストーリー 『 妖ノ祭(あやかしのまつり) 』 連載開始!

妖の祭 注目参加者紹介

コメント

タイトルとURLをコピーしました