『 妖ノ祭 』 第32話 夢ノ檻

AI が紡ぐオリジナルストーリー『妖ノ祭(あやかしのまつり)』

32話 夢ノ檻

 世界が、一瞬にして静まった。

 深仙郷を包む霧は色を変え、

 光は柔らかく拡散し、

 音という音が、まるで布の奥に吸い込まれたように消えていった。

 祠の上空には、巨大な円環の光。

 それが“夢ノ檻”の入口だった。

〈弦・視点〉

……ここは……

 目を開けると、見覚えのある祭会場が広がっていた。

 提灯の明かり、屋台の列、楽しげな笑い声。

 けれど——違う。

 どの顔にも、焦りがない。

 誰も戦っていない。

 互いにタスキを見せ合い、笑いながら交換している。

……何これ。戦いが……“遊び”になってる?

〈クウナ・視点〉

幻想か

 クウナが冷静に周囲を見渡す。

 人も妖も、笑顔を浮かべながら動いている。

 しかし、その瞳には焦点がなかった。

戦いのない妖ノ祭——でも、それは“夢の中の平和”に過ぎない

 光の屋台が並び、空には龍の幻影が舞う。

 観客の歓声が波のように広がる。

 その中で、祭の司会者・トコヨが笑顔で叫んだ。

ようこそ、“理想の妖ノ祭”へ!

 本日も平和に、笑顔で終わりましょう!!

 彼の声は明るいが、

 目の奥には光がなかった。

〈弦・視点〉

……やっぱり、夢の中だな。でも、夢にしちゃリアルすぎる

 弦は拳を握りしめた。

 周囲の景色が鮮明で、肌に風の感触まである。

 痛みも、熱も、本物のように感じる。

楓の術式……この“祭の幻影”に皆を閉じ込める為に、妖ノ祭で蓄積された妖力を再構成してるのか

 クウナが呟く。

 その声は冷たいが、どこかで感嘆の色を含んでいた。

……恐ろしいほどの制御ね。彼、ただの人間じゃない

〈ヒメガミ・視点〉

 ヒメガミは楓の傍らで、光の柱を見上げていた。

楓……夢世界の安定率が上がっている。このままでは、誰も戻れなくなるぞ!

戻る必要なんてない」楓が静かに答える。

これは、“もう一つの妖ノ祭”。戦いも、勝敗もない。誰も傷つかない、ただの“夢”

これは……命の停滞ではないの

 ヒメガミの声に、楓は微笑んだ。

なら、止まってもいいじゃないか。流血の夢より、静止の夢の方が美しい

 幻想の村では、

 各ペアが笑顔で“夢を語り合う儀式”をしていた。

 勝ち負けも、戦いもない。

 それぞれの夢が“叶った”ことになっている。

 レイジは道場で仲間に囲まれ、

 ユナはカフェを開き、

 ヒビキとヒュグラは穏やかに語らっていた。

 ——誰も苦しまない。

 ——誰も戦わない。

 そして誰も、“前に進まない”。

〈弦・視点〉

みんな……笑ってる。でも、なんか違うんだよな。

 弦が周囲を見渡す。

 笑い声が響くたび、胸の奥がざわつく。

夢が“叶ってる”はずなのに……全然、暖かくない

 その瞬間、空が一瞬だけ揺れた。

 頭の中に、楓の声が響く。

これが、理想の妖ノ祭。あなたの夢も、ここでなら叶う。——もう、戦わなくていい。

楓さん……

〈クウナ・視点〉

弦、声を聞いた?

うん。今の……楓さんの声だ

 クウナは瞳を細め、祭会場の中心を見つめる。

 そこに、ゆらめく光の門が現れた。

 扉の奥から吹く風は、現実と異なる匂いがする。

……中心部。どうやら“術式の核”への入口への招待みたいだ

行こう

罠かも知れないけど、弦あなたは行くのね

 クウナの口調は冷静だが、足は止まらなかった。

 二人が光の門をくぐると、

 周囲の喧騒が消えた。

 残ったのは、静寂と風の音。

 その奥で、黒い装束の男が佇んでいた。

 御神楓

 しかし、その姿は現実の彼よりも柔らかく、

 どこか悲しみを湛えていた。

ようこそ、中谷弦。

〈楓・視点〉

きみも夢を見に来たのか。でも、きみの夢はまだ“誰かを傷つける”ものだわ

……世界一美味いラーメンを食べたい、これのどこが誰かを傷つけたり悪いんだよ

叶えるということは、選ぶこと。選ぶことは、誰かを置き去りにすること。あなたが叶えれば、誰かが諦める。それが、この“妖ノ祭”の真実よ

 楓の言葉は静かで、しかし鋭かった。

だから私は、夢を止めることにしたの

〈弦・視点〉

止める必要なんてない……また目指せばいいじゃないか

……何を?

“誰かを笑顔にするための夢”を。別に一度叶えられなかったからって、諦める必要はないよ

 楓の瞳が揺れる。

そんな理想論で、血が止まると思うの?

思わないよ。この祭はどうしても血は流れる。でも……昔は知らないけど少なくても今は、祭のルールに強く記載されている

• 戦闘中の殺人は禁止されており、非参加者への危害も即失格となります。

皆でどうにか良くしようと前を向いて進んでいるんだ。

 弦は前へ出る。

 その姿は、現実の戦場ではなく、

 “夢の中でさえ立ち向かう”意志そのものだった。

 風が鳴る。

 結界が軋む。

 弦とクウナの前に、御神楓とヒメガミが現れる。

 それぞれの夢、意思を賭けて闘争は始まる。

次回理想と現実

 

前回『 妖ノ祭 』 第31話 封印の心臓

『 妖ノ祭 』第1話 封じられた夜、朱の光

【妖ノ祭】の世界観やルールは↓から

AI が紡ぐオリジナルストーリー 『 妖ノ祭(あやかしのまつり) 』 連載開始!

妖の祭 注目参加者紹介

コメント

タイトルとURLをコピーしました