『 妖ノ祭 』 第12話 影のゆらめき

AI が紡ぐオリジナルストーリー 『 妖ノ祭(あやかしのまつり) 』

12話 影のゆらめき

 妖ノ祭、三日目の午後。

 太陽が傾き、森の木漏れ日が金色に染まる頃。

 深仙郷の森は、昼でも静寂が支配していた。

 その静けさの中を、二つの影がゆっくりと進んでいた。

 中谷弦とクウナ。

 昨日の戦闘の疲労も見せず、弦は相変わらず明るい。

 だが、クウナの表情は鋭く張り詰めていた。

〈弦・視点〉

なんか、静かだね

……嵐の前の静けさかもしれない

クウナさん、縁起でもないこと言わないでよ

 苦笑いしながら歩を進めると、

 前方に淡い光が差し込んでいた。

 光の中に、詩を紡ぐような声が響く。

〈トウヤ・視点〉

 言葉は風に乗せるもの。

 風が流れれば、心も流れる。

 今日も、そんなことを考えながら詩を口ずさんでいた。

ヤマワラワ、ここは静かだね

……静寂こそ、命の鼓動を聞くのに相応しい場所だからね

 ヤマワラワの幼い声が、木々に響く。

 その声には、森全体が共鳴していた。

 ——そして、木々の間から二人の姿が現れる。

……あれは

 紅いハチマキが光を反射する。

 その先に立つのは、無能力者の少年。

中谷弦

 名前を呼んだのはトウヤだった。

 穏やかな声だったが、その奥には探るような気配があった。

〈弦・視点〉

俺の名前、知ってるの?

“風”が運んできた。君達のペアは有名だからね

ああ、まぁ……そうかも

興味深い。妖力を持たぬ人間が、鵺の力で風を纏う……詩的だ

 何言ってんだこの人、って感じだった。

 でも、嫌な感じじゃない。

 トウヤの声は、どこか包み込むように柔らかかった。

あなたたちも、戦う気なの?

戦いとは詩のようなもの。響き合う者がいれば、自然と始まる

……つまり、やる気はあるってことか

 クウナが前に出る。

 空気がわずかに張り詰めたその瞬間——

いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!

 全員が一斉に振り向いた。

ちょっ、来るな! こっちに来るな!!!

 森の奥から、必死の形相で飛び出してくる男。人間ランキング709位、森下 ショウ

 その後ろには、巨大な影。妖怪ランキング5位、鉄塊坊

ショウさん?!

うわぁ! 弦か!? 助けてぇぇ!!!

 その背後には、3.8メートルの鉄塊坊がのっそり歩いていた。

 敵ではない。

 むしろ守っているようだった。

なにから逃げてるの?!

猿だ!! でっかい猿の妖怪が追ってくんだよ!!!

 場の空気が、完全に崩壊した。

 クウナはため息。

 ヤマワラワは木に戻りかける。

 トウヤは詩の続きを呟く。

……風が乱れた。今日は詩を紡ぐ日ではないようだ

 ショウは弦の後ろに隠れ、鉄塊坊が「ドスン」と地面を揺らす。

なぁ弦、しばらく一緒に行動しよ!?

ショウさん……俺一応、最下位なんだけど?

だって多分、俺の方が戦ったら弱いもん!

〈クウナ・視点〉

 この空気。

 まるで、風が戦意を忘れたようだ。

クウナさん、戦うのやめとくか

……正直、戦う意味を失った

俺も。てかショウさんが入ってきた時点で、勝負どころじゃないかも

 そう言って弦が笑うと、トウヤも微笑んだ。

風の詩も、嵐には勝てないらしい

……おい、俺のこと嵐扱いすんな

 森に笑い声が残った。

 戦うはずだった者たちが、笑って別れる。

 風はその笑いを運び、森を抜け、遠くへと消えていく。

 その向こうで——

 別の影が、静かにその様子を見つめていた。

次回森を渡る影

 

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