『 妖ノ祭 』 第13話 森を渡る影

AI が紡ぐオリジナルストーリー 『 妖ノ祭(あやかしのまつり) 』

第13話 森を渡る影

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 妖ノ祭、三日目の夜。

 深仙郷の森を覆う霧は濃く、月明かりさえ霞んでいた。

 昼間は喧騒に包まれたこの森も、

 夜になるとまるで違う顔を見せる。

 ——その闇の中を、ひと組のペアが進んでいた。

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〈つばめ・視点〉

「よぉーし! 今日もショータイムと行こうか!」

 指先を鳴らすと、光の玉がポンと弾ける。

 ふわりと舞う紙吹雪。

 実際にはただの木の葉だが、演出は大事だ。

「ペテコ! 今日の運勢どう?」

「んー、マスターのマジックがうっかり爆発する確率、約70%」

「高っ!? でもそれも運命ってやつさ!」

 ペテコは薄く笑った。

 丸い瞳が妖しく光る。

「奇跡は、失敗のあとに訪れるものだよ」

「名言っぽいけど、怖いこと言いますねぇ」

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 二人は、森の奥で光の糸を追っていた。

 その先には、人影が見える。

 紅いハチマキ。

 そして、あの黒装束の女。

 中谷弦とクウナだった。

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〈弦・視点〉

「……なんか、光ってない?」

「そうだな。あれは妖力の光。だが、敵意は薄い」

 木々の向こうから、声が響いた。

「Ladies and gentlemen〜! 本日のゲストは、無能力者の弦くん!」

「うわっ、急になに!?」

 派手な煙幕とともに現れたのは、

 奇抜な衣装を着た少女と、小さな妖怪だった。

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〈クウナ・視点〉

 煙が晴れる。

 中央に立つ少女は、どこか芝居がかった笑みを浮かべていた。

「私はマジシャン・佐渡つばめ! こちらは助手のペテコ!」

「つばめ?もしかして、マジック披露としようとしてるの?!」

「Yes! この妖ノ祭を、世界一のステージにするために来たんだよ!」

 クウナは眉をひそめた。

 戦いではなく、“演出”を目的にしている者。

 この祭では珍しいタイプだ。

「ねぇ、弦くん。勝負しよう」

「……勝負? マジック対決?」

「ううん、“偶然対決”。どっちが今日、運を味方につけてるか!」

「……それ戦いじゃなくて運試しじゃん」

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〈ペテコ・視点〉

 ペテコは、ふわりと宙に浮いた。

 周囲に淡いピンクの光が舞う。

「奇跡ってね、時々“悪戯”の顔をするんだよ」

 その声とともに、木々の枝がきしむ。

 風が逆巻き、地面の落ち葉が弦たちの足元を包んだ。

「うわ!? な、なにこれ!」

「……妖力の乱れだ。自然現象ではない」

 クウナが構えた。

 つばめは両手を広げ、笑って言った。

「これが“偶然”だよ。起きるかどうかはわからない、だからこそ面白い!」

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 木々が鳴き、光が乱れた。

 つばめの妖力は不安定だが、

 ペテコの“奇跡付与”によって、

 偶然が現実になりかける。

 クウナの周囲の風が暴れ出す。

 弦は咄嗟にクウナの腕を引いた。

「うわあああっ! 危ない!!」

 枝が落下する直前、鉄の音が響いた。

 ——“ドスン”。

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「ま、またお前らかあぁぁぁぁ!!!」

 森の奥から、泣きそうな声。

 続いて現れたのは、またしても森下ショウと鉄塊坊だった。

「え!また?!ショウさん、どんだけ森で迷ってんですか」

「迷ってねぇ!! 逃げてんだよ!!!」

「今度は誰から?」

「空飛ぶ猿だぁぁぁ!!!」

「……進化してる」

「進化してるな」

 嵐の男が、完全に空気を崩壊させていた。

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〈クウナ・視点〉

 戦意消失。

 風が収まる。

 クウナは静かに息を吐いた。

「……弦。今回も戦いにはならないようだ」

「まぁ、いいじゃん。こういう日も」

「……ショウという存在は、戦場を壊すな」

「褒め言葉だよね?それ」

 クウナは小さく笑った。

 彼女の微笑みは、森の夜を柔らかく照らした。

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〈つばめ・視点〉

「ふふっ。なんだか、面白い人たちに会っちゃったな」

「奇跡の確率、100%超えだね」

「うん。次に会うときは、本当のステージでやろう」

 そう言って、つばめは軽く帽子を傾けた。

 月明かりの中で、彼女の影がふっと消えた。

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 森を渡る風が、静かに笑っていた。

 誰も勝たず、誰も負けず。

 けれど確かに、何かが動き始めている。

 “偶然”という名の歯車が、

 深仙郷の運命をゆっくりと回し始めていた。

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次回『眠れる布の下で』

 

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