『 妖ノ祭 』 第24話 黒炎の宴

AI が紡ぐオリジナルストーリー『妖ノ祭(あやかしのまつり)』

24話 黒炎の宴

 妖ノ祭・六日目、昼。

 太陽は真上にあるはずなのに、

 森の中は薄暗かった。

 濃い霧が渦を巻き、

 風が淀み、草木が震える。

 その中心で、ひとりの男が立ち尽くしていた。

 黒野レイジ

 肩で息をしながら、

 両手の刀を地面に突き立てていた。

 周囲には、倒れ伏す三組のペア。

 全員が戦闘不能。

 妖力の余波だけで、木々が黒く焦げていた。

〈白丸・視点〉

……やりすぎだ

 レイジの腰の横で、刀の声が低く響く。

うるせぇ

お前、加減を知らないのか

知らねぇ。……そんなの、誰が決めた?

 白丸はため息をついた。

 しかしその声音には、ほんの少しの恐れが混じっていた。

こいつの“妖力増幅”は……もう制御できてない

 斬鬼・白丸

 彼は“持ち主の妖力を増幅させる刀”。

 本来なら力を“補助”するための妖だ。

 だが今のレイジは、

 その妖力を“自分の怒り”で飲み込み尽くそうとしていた。

〈レイジ・視点〉

 胸の奥が焼けるようだった。

 怒りでも、憎しみでもない。

 自分でも分からない何か。

 ただ一つ確かなのは、

 ——「苛立ち」だ。

 空気が重い。

 木の葉が落ちる音がやけに響く。

なんでだよ……

 弦の顔が脳裏に浮かぶ。

 あの、笑顔。

“無能力者”のくせに、なんであいつはあんなに真っ直ぐ歩いていられるんだ

 レイジの妖力が高まる。

 空気が熱を帯び、

 地面の石がひび割れ始める。

 怒りが熱になり、

 熱が炎になり、

 炎が“黒”に染まっていく。

 空間が歪む。

 光が吸い込まれる。

 ——黒炎。

 それは、怒りが形を持った妖力の燃焼体。

 生者も妖も関係なく、触れたものを焼き尽くす。

〈白丸・視点〉

やめろレイジ! その力は——

うるさいって言ってんだろ!!

 地面を蹴る音。

 瞬間、黒い炎が爆ぜた。

 森が悲鳴を上げるように、枝が爆裂する。

 その中で、別のペアが悲鳴を上げた。

ひ、ひぃっ!? あ、熱っ……!!

 レイジがそちらを見る。

 そこには、若い男の人間とその妖が震えていた。

戦う気がねぇなら——来るな

 レイジの刀が一閃した。

 風圧だけで、二人は吹き飛ばされ身に付けていたタスキは切れた。

 その斬撃は、“怒り”の波動だった。

 直接切られたわけではない。

 ただ、刃の圧力だけで周囲の妖力を弾き飛ばした。

 倒れた二組のペアは戦闘不能。

 ——失格。

 黒い風が吹き抜け、

 地面に焦げ跡だけが残った。

〈白丸・視点〉

レイジ……お前、何がしたい

分かんねぇよ

 レイジは吐き捨てるように言った。

勝ちたいだけだ。誰よりも、あいつに。真に勝って……弦に勝って、証明する。俺が“上だ”って

そのために全部壊すのか?

当たり前だ。全部ぶっ壊してでも、俺はもう“負けたくねぇ”んだ

 黒い炎が、ゆっくりと彼の背から立ち上る。

 人間の体ではあり得ない“妖力の出力”。

 それはもう、妖と変わらない。

 怒りが進化を生む。

 だが、それは破滅への進化でもある。

〈白丸・視点〉

怒りは、剣を鈍らせる。

 だが——レイジの剣は、怒りに磨かれている

 白丸は黙った。

 もう、止められない。

この炎は、誰かにぶつかるまできっと消えない

 森の奥で、動物たちが逃げ惑う。

 木々が黒く染まり、焦げた匂いが漂う。

 遠くで、その妖気を感じ取る者がいた。

 ——クウナ

 夕暮れの森で、彼女は立ち止まる。

 弦が隣で振り返った。

クウナさん?

……始まったのね

始まったって、何が?

“黒炎”の宴。怒りが、祭りの形を変えうる

 黒野レイジの心が、

 妖ノ祭そのものを揺らし始めていた。

 炎が赤から黒へ、

 戦いが“試練”から“災厄”へと変わる。

次回焦土の再戦

 

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