『 妖ノ祭 』 第36話 再起ノ刻

AI が紡ぐオリジナルストーリー『妖ノ祭(あやかしのまつり)』

36話 再起ノ刻

 深仙郷に、再び朝が来た。

 昨日の夜明けは、静かだった。

 誰もが疲れ果て、息を潜めていた。

 だが——妖ノ祭は止まらない。

 8日目に訪れた一瞬の静寂は、

 まるで嵐の前の“吸い込み”だった。

 9日目の朝。

 村の中央、旧集会広場。

 五つの影が、同時に交錯する。

〈志岐真・視点〉

 薄霧の立ち込める広場で、

 志岐真は刀をゆっくりと抜いた。

……騒がしくなりそうだな

 その隣で、斑獣ジンが肩を鳴らす。

 岩のような体が、朝陽に赤く光る。

斬り合いは避けられない。だが、下らない乱戦にはしたくない

了解した」ジンの低い声。

 志岐真の視線の先に、

 次々と姿を現す他のペアたち。

〈ユナ・視点〉

……どうして、こんなところで鉢合わせちゃうかな

 ユナは眉をひそめながら、

 護りの結界を展開した。

 隣ではカサナリが布のような身体を広げ、

 大きな防御の幕を張る。

ユナ、争いたくないなら隠れる?

……もうここまできたら、そんな事言ってられない

 その声には、いつになく芯があった。

 平和を願う者ほど、守る時は強い。

〈森下ショウ・視点〉

ぎゃーーー!!! なんでよりによってこのメンツぅぅ!?

 草むらから転がり出るように、

 森下ショウが顔を出す。

 その背後には、

 ゆっくりと立ち上がる巨大な影——鉄塊坊

ショウ、足音

うるさいっ!! お前の方がデカいだろ!!

 ショウは慌てて木の後ろに隠れたが、

 その巨体のパートナーが、堂々と立ちはだかっている。

もうバレバレじゃんかぁぁぁ!!!

 彼の叫びが、混戦の開幕を告げた。

〈空木イサム・視点〉

……騒がしい朝だ

 イサムは短く息を吐いた。

 黒い袖から覗く手刀が光る。

 その後ろで、ベラコがふてくされたように腕を組む。

ねぇイサム、あたしもう帰りたいんだけど

勝手に帰ればいい

はぁ? あんた、ペアが一定距離離れたら失格になるの知ってるでしょ?

知ってる。だから文句言うな

っあー!ムカつく!

 二人の罵り合いが、戦場の緊張を逆に高めていた。

〈佐渡つばめ・視点〉

いやぁ〜、最高のステージじゃないか!

 つばめが、光るカードを扇のように広げる。

 その背後でペテコが回転しながら声を上げた。

つばめー!今度こそ失敗すんなよー!

大丈夫だって、ペテコ!“偶然”も演出のうちさ!

 つばめの笑顔は、狂気と興奮の間にあった。

 マジックと幻惑。

 それは戦場を華やかに、しかし危険に彩っていく。

 五つのペア、五つの思想。

 それぞれの夢が、ぶつかり合う。

 志岐真の冷たい瞳が、広場全体を見渡す。

 ユナは結界の中で深呼吸し、

 ショウはただ逃げるタイミングを探している。

 イサムの足元で、黒い霧が立ち上がる。

 ベラコの毒気が空気に滲み、草が焦げる。

 その毒を、ユナの結界が薄く反射する。

 ——そして、最初の衝突。

〈志岐真・視点〉

来るか

 つばめの放ったカードが空を舞う。

“運命のサーカス・ショウタイムッ!”

 カードが弾け、煙の中から無数の幻影が現れた。

 志岐真は即座に刀を抜き、

 一閃——煙を斬り裂く。

 幻が消えると同時に、背後から爆ぜる閃光。

……なるほど。手品じゃなく、妖術か

〈ユナ・視点〉

カサナリ!

わかってる〜〜

 布のような身体が広がり、

 爆光の余波を吸収していく。

ありがとう、助かった

ユナを守るのが、ぼくの“夢”だからねぇ

 優しい声。

 しかし、その瞬間——別方向から影。

イサムッ!

 イサムの手刀が結界に突き刺さる。

 ユナの張った光の壁が一瞬揺れ、ひびが入る。

ちっ、硬いな

ごめんね。壊されるのは好きじゃないの

 ユナが微笑む。

〈イサム・視点〉

守るだけか。つまらん

 イサムが跳ぶ。

 風を切りながら逆手で掌底を叩き込む。

“空掌・双裂”!

 結界の光が一瞬にして弾けた。

 ユナが息を呑む。

っ——!

よそ見しないで、ユナ!

 カサナリが身体を広げ、彼女を覆う。

 その布に打撃がめり込み、爆ぜるような音がした。

〈森下ショウ・視点〉

ひぃぃぃ〜〜〜っ!!!

 爆光の中、ショウは全力で走っていた。

 しかし、その行き先に——志岐真。

……通りたければ、抜けてみろ

す、すいませんっ!ここ通りますっ!!

なら、通れ

えっ……マジで?

 志岐が剣を構える。

通り抜けられたら、な

無理ぃぃぃぃぃ!!!

 ショウは即座に方向転換し、逃げた。

 鉄塊坊が無言でついてくる。

〈つばめ・視点〉

いやぁ〜、派手だねぇ!だったらこっちも負けてらんない!

 つばめがカードを広げ、

 ペテコが叫ぶ。

つばめ、上っ!

 志岐真が一瞬で間合いを詰める。

 つばめは反射的に指を鳴らした。

“幻灯トリック・リフレクトッ!”

 地面のカードが光り、鏡のような結界を作り出す。

 志岐の剣撃が反射し、別方向へ飛ぶ。

 その先には——イサム。

……ちっ

 イサムが即座に受け流す。

 空間に火花が散った。

 五つの力が、五方向からぶつかり合う。

 守る者。

 斬る者。

 逃げる者。

 毒す者。

 幻を操る者。

 戦いは、もはや秩序を失っていた。

 だが——それでも彼らは、夢を捨てていなかった。

〈志岐真・視点〉

これが、“妖ノ祭”の本番か

 彼は剣を収め、呟く。

 混乱の中でも、互いに守り、攻め、夢を叫ぶ。

悪くない

 その目に、静かな炎が宿った。

勝ち残る者だけが、夢を語る資格を持つ。なら——俺は、全員を斬ってでも証明してやろう

 空が赤く染まり始める。

 9日目の昼、深仙郷。

 広場は瓦礫と光と煙に包まれていた。

次回交差する夢

 

前回『 妖ノ祭 』 第35話 夢の心臓

『 妖ノ祭 』第1話 封じられた夜、朱の光

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