『 妖ノ祭 』 第40話 深仙郷、夜明け前

AI が紡ぐオリジナルストーリー『妖ノ祭(あやかしのまつり)』

40話 深仙郷、夜明け前

 静寂が降りていた。

 九日間の戦いの跡を照らすのは、祭の余熱と焚き火の残り香。

 深仙郷の空は、もうすぐ夜明けを迎えようとしていた。

 妖ノ祭——終幕。

 そして、ひとつの“願い”が、叶えられようとしていた。

〈トコヨ・視点〉

はっは〜!今年も終わったね〜!さて、優勝者の“願い”は……?

 トコヨがマイクのように鈴を掲げる。

 村人も妖たちも、息を呑んで見守っていた。

 中谷弦が、ハチマキを外し、ゆっくりと笑った。

俺の願いは——“世界一うまいラーメンを、みんなで作りたい!!”

 一瞬の静寂のあと、村全体がどよめいた。

はぁ!?」「戦いの末がラーメン!?」「でも……いいかも!

 笑いと歓声が交じり、夜空に弾ける。

 トコヨは腹を抱えて笑った。

そうこなくっちゃねぇぇぇ!!!

 その瞬間、深仙郷が動き出した。

 妖も人も、疲れ切った身体を引きずりながら、

 誰もが笑顔で立ち上がる。

 木々がざわめき、妖たちは力を貸した。

 火を吹く妖が大鍋を温め、

 風を操る妖が煙を散らし、

 水を司る妖が澄んだ泉の水を鍋に注ぐ。

 人間たちは走り回り、材料を集めた。

 志岐真は真剣な顔で包丁を握り、

 ユナは味見役として舌を整え、

 レイジは麺を練りながら笑った。

弦、麺のコシは任せろ!

お!レイジはほんと、こういう時頼りになるね!

〈クウナ・視点〉

ふん、何故私が麺を打たねばならん

クウナさんの妖力で、茹で加減が完璧になるんだよ!

……くだらん。だが悪くない

 クウナが湯気の中で微笑んだ。

 彼女の周囲に淡い光が漂う。

 妖力の波が、鍋の湯を絶妙な温度に保っていく。

ほら、クウナ特製。鵺スープ完成っと

……そんな名前をつけられるとは

〈星乃ココロ・視点〉

この香り、やばい……恋よりヤバい……

 ココロが鼻をくすぐりながら言う。

 隣でドキンバチがハート型の湯気を出している。

ねぇ、弦くん。これが“夢を叶える”ってことなんだね

いや、まだ途中だよ。夢は“みんなで食う”までだから

〈志岐真・視点〉

 志岐真は箸を持ち、湯気の立つ丼を見下ろした。

……ふむ、戦とは違うが、これもまた勝負だな

 ジンが隣でニヤリと笑う。

味わう勝負か

勝敗などどうでもいい程に……美味すぎる

〈レイジ・視点〉

……くっそ、なんで俺、泣いてんだろ

 レイジが笑いながら鼻をすすった。

 白丸が呆れたように肩を叩く。

涙の塩分がスープに合ってるよ

黙れ、白丸!

 鍋がぐつぐつと鳴る。

 深仙郷中が、香りに包まれていた。

 笑い声。木のきしむ音。器のぶつかる音。

 戦っていた者たちが、いまは同じ席で笑っている。

 ——妖ノ祭は終わった。

 けれど、この“宴”こそが、本当の祭だった。

〈クウナ・視点〉

弦、味はどうだ

 クウナがレンゲでスープをすくう。

 弦も真剣な顔でひと口すすった。

……うん。世界一、間違いない

根拠は?

みんなの味がする

 クウナがふっと笑う。

……お前は、そういうところがずるい

 その夜。

 深仙郷の空には、九日間の戦いで生まれた光が浮かんでいた。

 人も妖も肩を並べて食べ、笑い、泣いた。

 湯気が夜空にのぼり、

 それはまるで、星々が笑っているようだった。

ねぇ、クウナさん。“妖ノ祭”って、やっぱいいね

……やれやれ。また次をやりたいのか

当たり前じゃん。次は“世界一うまいおかわり”だ!

 クウナが苦笑する。

ふん、やはりお前は人間離れしてるな

褒めてる?

ああ、素直にな

 弦は空を見上げた。

 星々が、湯気の向こうで瞬いていた。

 夜が明ける。

 深仙郷に、新しい朝が来る。

クウナさん、一つお願いしてもいい?

なんだ?

……クウナって呼んでもいい?

……悪くない

夢は、ひとりでは叶わない。でも“誰かと一緒に叶える夢”は、世界一の味がする。

 湯気が朝陽を受け、金色に輝いた。

 その香りが、村じゅうを優しく包んでいた。

 ——妖ノ祭、完。

 

前回『 妖ノ祭 』 第39話 ときめきの残光

『 妖ノ祭 』第1話 封じられた夜、朱の光

【妖ノ祭】の世界観やルールは↓から

AI が紡ぐオリジナルストーリー 『 妖ノ祭(あやかしのまつり) 』 連載開始!

妖の祭 注目参加者紹介

コメント

タイトルとURLをコピーしました