『 妖ノ祭 』 第9話 影を纏う剣

AI が紡ぐオリジナルストーリー 『 妖ノ祭(あやかしのまつり) 』

9話 影を纏う剣

 妖ノ祭、二日目の昼。

 深仙郷の南東、崩れかけた鳥居の並ぶ古道。

 陽はまだ高く、空気の中に焦げた草の匂いが漂っていた。

 ——黒野レイジ斬鬼・白丸

 彼らは静かに、戦場を歩いていた。

 昨日、開幕と同時に3組を瞬時に斬り伏せたペア。

 その実力はすでに噂になり、

 他の参加者たちは彼の足音だけで息を潜める。

〈レイジ・視点〉

……どうせまた隠れてるんだろ

 木々の隙間を見渡す。

 息を殺した影が二つ、こちらを伺っている。

 腰の双剣をわずかに抜いた。

 白丸が、淡い光を帯びて反応する。

白丸お前、気配が変わったな

昨日より、感覚が研ぎ澄まされている

 白丸が淡々と告げた。

 それは、妖と人が呼吸を合わせ始めた証。

まぁ、敵は来るなら来いって感じだ

油断はするな

わかってるよ

 その瞬間、空気が弾けた。

 背後から二つの影。

もらったァッ!

 奇襲。

 だが、レイジは振り返らなかった。

 ——音より先に動く。

 双剣が交差し、空を裂く。

 次の瞬間、二人の攻撃者は地面に倒れていた。

 タスキだけが宙に舞う。

悪いな。予想通りすぎて退屈だった

 レイジの声は冷たく、静かだった。

〈白丸・視点〉

 彼の剣は本当に美しい。

 無駄がなく、流れるように、敵を断つ。

 だが——

お前、楽しそうじゃないな

楽しい? 祭りだろうが戦いだろうが、勝てばいい

勝つことが“目的”か?

……ああ。俺は負けない。それだけで十分だ

 その声に、わずかな影があった。

 誰かを思い出すような、曇り。

 岩陰に隠れていた1組のペアが震えていた。

あ、あれがランキング5位か……

一瞬で終わったぞ……

あんな怪物勝てるかよ……

 木々の影が揺れる。

 気配を感知した瞬間、二人は息を止めた。

……出てこないのか?

 声が背後からした。

 振り向くと、もう目の前にいた。

もう隠れるの、やめとけ

 次の瞬間、タスキが宙を舞った。

〈レイジ・視点〉

 また、終わった。

 この程度の戦いに、何の意味がある?

白丸、これで何組目だ?

七組目だ

……早いもんだな

 空を見上げる。

 昼の太陽が、まぶしいほどに静かだ。

 心が、ざわつく。

 こんなにも勝っているのに、胸の奥は満たされない。

 何かが足りない。

 ——何を求めている?

〈白丸・視点〉

 彼の剣は鋭いが、心は鈍い。

 強くなるたびに、なぜか焦りが増しているように感じた。

レイジ

なんだ

お前、誰かを探しているだろう

……そんな気がしてきた

 ほんの一瞬、レイジの口元に笑みが浮かんだ。

 だがそれは、楽しげではなく——

 自嘲に近い微笑だった。

 黒野レイジ

 その名はすでに、祭参加者の間で恐れられ始めていた。

 ——けれど、本人は満たされていない。

 強さは誇りではなく、空白を埋める手段。

 彼がまだ気づいていないのは、

 その空白の形が“誰か”の影だということ。

 黒い剣が、夕日を受けて赤く光る。

 紅と黒の狭間に、ひとつの運命が沈黙していた。

次回紅と黒の交錯

 

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